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きまま
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『スモールワールズ』濃密で歪な様々な愛の形

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なんで読もうと思ったか

ミニチュア作品をSNSやYouTubeで見てて関心がある時期に、装丁とタイトルでミニチュア系のお話かと思ったから。全然違ったけど。

しゅう

思ってたのと全然違うかったけど大当たりだったよ

どんな本なの?

誰の人生だって、激動だよなあ。

スモールワールズ「式日」

6つの激動の短編集。

子供が欲しい妻と虐待を受けている少年、魔王と呼ばれる姉とその弟、娘が不慮の死を遂げ疑われる家族、兄の命を奪った囚人と文通をする妹、冴えない高校教師と姿を変えて現れた娘、普通高校と夜間学校で知り合った先輩後輩。

お話の中で少し繋がりが見える話もあります。

全て本当に良かったですが、私は「ピクニック」が1番好きでしたので、それについて書きます。

簡単なあらすじ

「ピクニック」

赤ちゃんを抱きしめ、この赤ちゃんの為なら死んでもいいと言う赤ちゃんの祖母である希和子。

育児ノイローゼになりながらも、母である瑛里子は希和子に支えてもらい赤ちゃんを育てていく。

10ヶ月経った頃、瑛里子は育児の息抜きとして、赤ちゃんを希和子に預け単身赴任をしている夫の元へ行く。

しかし、その日、赤ちゃんが動かないと希和子からの連絡が。

警察から虐待を疑われた家族は、平穏な暮らしを奪われ、過去の秘密が明るみになっていく。

面白かったところ

ちくちくと心が痛くなる

優しく柔らかい文章なのに、ちくちくと心が痛くなりました。

育児ノイローゼとなり、穿った見方をしてしまう気持ちや、言葉の綾で正しく伝わらなかったりするときの切なさが堪らなかったです。

疑ってるなんて言ってないのに、どうして「信じて」って言うの。

スモールワールズ「ピクニック」

そういうつもりじゃないのに。

思い込みや先入観を通すと正しく伝わらないことがあり、そのもどかしさに胸がクッとなる。

こういう感情が動くほど、どんどん登場人物に入り込んでいく。

最後の3ページ

ゾクゾクっとしました。数ページでこんなに感情を揺さぶられる終わり方を作れるのかと思いました。

それぞれの気持ちを考えると、余韻がエグかったです。思い出すと今でも引きずります。

読んでみての感想

皮肉っぽい見方をつらつらと書いており、クスッとなったり、少し胸が抉られたり好きな読み味でした。

それを読むわたしのテンションがまったく上がらないことにはお構いなし、そういう一方的なツールなのだと分かっていてもため息がこぼれた。

スモールワールズ「ネオンテトラ」

「愛の適量」という短編も不器用さがもどかしく好きな作品です。

それぞれの短編が結構満腹感があるので、一息つきながら楽しんでください!

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この記事を書いた人

気の向くままに読書しています。
ただ思うままに感想を書いているので、ネタバレもあります。

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