こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、中年男の予言と心理戦が交錯する極上サスペンス
『爆弾』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!
『爆弾』あらすじ
中年男性・スズキタゴサクが暴行容疑で任意の取調べを受けている最中、突如「十時に爆発がある」と予言。それを冗談と一笑に付す刑事たちだが、直後に秋葉原で実際に爆破事件が発生。タゴサクの発言に信憑性が生まれ、彼は一躍、重要参考人として注目されます。
彼の語る爆破予知は「霊感によるもの」だというが、それが真実かどうかは定かではない。刑事たちは彼の曖昧な言葉の中に真実を見出そうとするが、爆発のタイムリミットは迫っており、悠長に構えてはいられない。彼は爆弾魔なのか、それともただの操られた男なのか──その見極めが、東京全体の命運を握ることになる。

『推しの殺人』読後レビュー(ネタバレなし)
取調室で繰り広げられる知能戦
本作の魅力は、なんといってもスズキタゴサクと刑事との対話劇。
無意味にも見える世間話や持論の中に、重要な情報が巧妙に織り込まれていて、読み手も刑事と同じ目線で情報を読み解いていくような感覚に浸れます。
時間に追われながらも、相手のペースに合わせなければならないジレンマも秀逸です。
不気味で魅力的なキャラクター造形
スズキタゴサクのキャラクターは、見た目は平凡な中年男性でありながら、発言や態度はどこか幼さと純粋さを感じさせ、それでいて深い哲学を語る。
矛盾を突きつける語り口は読者にも刺さり、社会の理不尽や人間の本質を問い直してくるように感じられます。
彼が善なのか悪なのか、常に揺さぶられる感覚が心地よい緊張を生みます。
私の中では、このスズキタゴサクがあまり見たことないサイコパスの形でとても魅力的でしたね。
対応する刑事たちの描写もリアル
タゴサクと対峙する刑事たちも個性的で、冷静沈着な知能派や感情を抑えきれない熱血型、それぞれが葛藤しながらも「正義とは何か」に向き合っていく様が描かれています。
彼らの迷いや怒り、そして変化は、物語に深みを与えてくれます。
こんな人におすすめ!
✔️ 心理戦・取調べ劇が好きな方
✔️ サイコサスペンスや不穏な空気感の作品に惹かれる方
✔️ 先の読めない展開にワクワクする方
✔️ 登場人物の思想や信念のぶつかり合いを楽しみたい方
まとめ
『爆弾』は、ただの爆破事件を追うサスペンスにとどまらず、人間の善悪、嘘と真実、そして正義の在り方を問う骨太な一冊です。
複数の視点が交錯しながら描かれる知的な駆け引きに、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなし。
読むほどに問いかけられる、深く濃密な読書体験をぜひ味わってください。