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あびあび
気ままにページをめくりながら、ときには鳥肌、ときには心を揺らす読書を楽しんでいます。

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【ネタバレなし】『レモンと殺人鬼』読了レビュー|虐げる者と虐げられる者——

こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、静かなる狂気のミステリ
『レモンと殺人鬼』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!

目次

『レモンと殺人鬼』あらすじ

十年前、父が通り魔に殺され、母も失踪。別々の親戚に引き取られながら育った小林姉妹。

その妹・妃奈が、ある日遺体で発見される。悲劇的な事件として扱われていたが、やがて妃奈に保険金殺人の疑惑がかかる。

姉の美桜は、妃奈の無実を信じて、渚という大学生と共に真相を追い始める。しかし、調査を進めるうちに、美桜自身の“本性”が顔を出し始めて……。

『レモンと殺人鬼』読後レビュー(ネタバレなし)

最初の印象が一変する心理描写の妙

気弱でおどおどした美桜の姿に、妹を信じて立ち上がる勇気ある主人公像を重ねて読んでいました。

しかし物語が進むにつれて、美桜の“真の姿”が明かされたとき、まるで見ていた景色が反転するような感覚に襲われました。読者の想像を利用する叙述の巧みさに、まんまとしてやられた気分です。

疑心と狂気に満ちた人物たち

終盤は誰が敵か味方か分からない疑心の渦に巻き込まれます。短い時間の中で次々と起こる展開は、目を離す隙がありません。

中には事件の核心には関係しないのに異常すぎる登場人物もいて、「こいつヤバいやつやったんかい!」と内心でツッコミながらも、妙にリアルな恐怖感がありました。

騙される快感と、しっかりと伏線回収される叙述トリック

過去と現在を行き来する構成に仕込まれた叙述トリックは、決して理不尽ではなく、むしろ巧妙に伏線が張られていて納得感がありました。

死の激痛にのたうつ体を押さえつけ、切り裂く。

「レモンと殺人鬼」

読者を嫌な気持ちにさせない、フェアな仕掛け方もよかったです。

余韻を残す終わり方

すべてを失ったように見える美桜ですが、彼女だけは未来を見据えている。

その姿がとても印象的で、凄惨な物語を読んだ後でもほんの少しだけ救われる気持ちになりました。

こんな人におすすめ!

✔️ ミステリー小説が好きな人
✔️ アイドル業界の裏側に興味がある人
✔️ ハラハラする心理サスペンスが読みたい人
✔️ 切なくも熱い人間ドラマを味わいたい人

まとめ

人を信じるとはどういうことか。行動から人物像を読み解くとはどういうことか。読者の先入観すら利用した巧みな構成で、心理サスペンスとして非常に完成度の高い作品でした。

一度読み終わっても、もう一度読み返すと新たな発見がありそうです。重くて暗いだけのミステリではなく、構成・叙述・心理描写のバランスが絶妙な一冊でした。

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