こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、クイズ王決定戦、その裏に潜む“正解”とは?
『君のクイズ』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!
『君のクイズ』あらすじ
一流のクイズプレイヤーたちが頂点を目指して戦う、生放送番組「Q-1グランプリ」。
主人公・三島玲央は、決勝で人気クイズタレントの本庄絆と対峙する。
ゾーン状態に入り、全盛の集中力を発揮する三島は、自らの勝利を疑わなかった。
しかし、最終問題で異変が起きる。
本庄は、問題文が一文字も読まれないうちに早押しボタンを押し――正解してしまったのだ。
鳴り響く「ピンポン」。呆然とする会場。そして、優勝する本庄。
あれはヤラセか、魔法か、それとも論理か。
クイズという“純粋な知の競技”を守りたい三島は、揺れる感情と向き合いながら、前代未聞の難問に挑んでいく。
登場人物
・三島玲央 クイズプレイヤー。Q-1グランプリファイナリスト。
・本庄絆 クイズプレイヤー。Q-1グランプリファイナリスト。
・坂田泰彦 Q-1グランプリ総合演出。
・冨塚 クイズプレイヤー。
・片桐 クイズプレイヤー。
・本庄裕翔 本庄絆の弟。
こんな人におすすめ!
✔️ クイズ番組や競技クイズが好きな人
✔️ ミステリーが読みたいけど、人が死なない物語を楽しみたい人
✔️ サクッと読めるけれど、読み応えも欲しい人
『君のクイズ』読後レビュー(ネタバレなし)
知識のスピード勝負――競技クイズの世界に圧倒された
競技クイズを題材にした小説を読むのは、今回が初めてでした。
もともとクイズ番組が好きで、昔見ていた高校生クイズの熱気や緊張感を思い出しながら、物語に引き込まれていきました。
バラエティのクイズとは異なり、競技クイズはまるで別の競技。
早押しのタイミングやボタンの押し方、7○3×ルール、確定ポイントといった専門用語が飛び交い、その一つひとつが新鮮でした。
中でも驚いたのは、「問い読み」の人の口の形から次の音を予測し、まだ答えが分かっていなくてもボタンを押すという戦術。
そして、解答の猶予の中で脳内から正解を引き出す――。まさに、極限の知的スポーツです。
戦略・瞬発力・経験――知識だけでは勝てない
単なる知識の量だけでなく、それを検索するスピード、状況判断、戦略――。
一瞬で攻めるか、守るかを判断し、経験や知識をフル動員して戦う姿に、人間の限界へ挑戦する競技としての凄みを感じました。
そこには、競技クイズだからこそ生まれる、独特の熱狂と美しさがありました。
物語はクイズの謎を追うだけでなく、「自分にとってクイズとは何か」「正解するとはどういうことか」というテーマにも踏み込みます。
自分の経験、人生そのものが答えにつながっていくという描写に、静かな感動を覚えました。
一つひとつの体験を丁寧に拾い上げれば、世界はこんなにも色鮮やかに見えるのか――そんな気づきすら与えてくれる作品です。
まとめ
サクッと読めるのに、濃密な一冊
文庫版は約200ページの本編に加え、書き下ろし短編「僕のクイズ」も収録。
短めながら内容は濃く、テンポも良いので一気に読み切れてしまいます。
クイズ好きはもちろん、知の競技に心を動かされたい人におすすめの一冊です。