こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。
最近、王道のクローズドサークルものが読みたい気分だった私。
「このミステリーがすごい!」で文庫グランプリを受賞したという情報を見つけ、安心して選べる一冊として本作を手に取りました。
そして何より、私は“〇〇の殺人”というタイトルに抗えない体質。今回もその例に漏れずでした!
『密室黄金時代の殺人―雪の館と六つのトリック』あらすじ
日本で初めての密室殺人が起きたが、誰にもその謎は解けず、犯人は無罪に。
この事件を皮切りに、密室事件での無罪狙いが横行し、社会は“密室黄金時代”に突入した――。
主人公・葛白香澄(くずしろ かすみ)は、推理作家・雪城白夜の遺した雪白館で、幼なじみの朝比奈夜月と共に宿泊することに。
そこには過去の連続殺人事件になぞらえた新たな殺人事件が発生し、唯一の橋も焼かれて館は孤立。
葛白は中学の同級生・蜜村漆璃と共に、密室殺人の謎を解き明かすべく動き出す――。
『密室黄金時代の殺人―雪の館と六つのトリック』読後レビュー(ネタバレなし)
密室トリックの多彩さに唸る!
一冊に複数の密室事件が詰め込まれており、どのトリックも“なるほど!”と納得できるものばかり。
今、示されている情報だけで、この密室の謎を解き明かすことは可能なのに―
『密室黄金時代の殺人―雪の館と六つのトリック』
このような挑戦文に胸が高鳴り、煽られてウォォォォとなります。私は一つも解けませんでしたが……それがまた楽しい!
登場人物が覚えやすい工夫が嬉しい
本を読んでいると、この人なんやったっけ?この苗字の読み方なんやったけ?とかで少し戻ったりするのですが、
「支配人のシハイさんか」
『密室黄金時代の殺人―雪の館と六つのトリック』
「医師のイシカワさんね」
『密室黄金時代の殺人―雪の館と六つのトリック』
など、幼なじみの夜月の一言でスッと頭に入ってきます。キャラクターの名前が会話の中で自然に整理される工夫がされていて、読書のストレスが少ないのも好ポイントでした!
クスッと笑える心理描写が魅力
主人公・葛白の心の声がたびたび登場し、どこか素朴で不器用な語りが思わず笑いを誘います。
僕はとても寂しかった。
『密室黄金時代の殺人―雪の館と六つのトリック』
酷いことを言われた。僕は素直に黙る。とても悲しい時間だった。
『密室黄金時代の殺人―雪の館と六つのトリック』
この“静かな笑い”のセンスが光っていて、作品全体に温度差が生まれ、より感情移入しやすかったです。
最後の密室とラストの余韻が秀逸!
ラストの推理は、読者への挑戦が繰り返されながらも着実に進み、解決の瞬間はスカッと快感。
そして、余韻をしっかり残すエンディングにも大満足でした。
こんな人におすすめ!
✔️ 本格ミステリーやトリック重視の作品が好きな方
✔️ クローズドサークルのシチュエーションが好きな方
✔️ 読後に「うまくやられた!」と思いたい方
まとめ
『密室黄金時代の殺人―雪の館と六つのトリック』は、密室トリックが好きな人にとってまさに“ごちそう”のような作品でした。
複数の密室事件が次々と展開され、それぞれのトリックはしっかりと伏線が張られ、解説も丁寧で納得感があります。また、登場人物の名前を自然に覚えさせる工夫や、主人公・葛白の素朴な語り口によるクスッと笑える場面が、読み心地に軽やかさを添えていました。
終盤の推理パートでは、読者に向けた挑戦状のような構成で、「解けるか?」と問われているような緊張感があり、最後のどんでん返しとともにスカッとする快感を味わえます。読後には「やられた!」という感覚とともに、しみじみと余韻が残る、完成度の高い一冊でした。
