こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、『その女アレックス』の著者ピエール・ルメートルが描く、徹夜必至の再就職サスペンス。
『監禁面接』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!
『監禁面接』あらすじ
かつて管理職として家族を養っていたアラン。しかしリストラに遭い、失業して早4年。バイトで何とか食いつなぐ日々のなか、家族への自尊心も次第に失われ、怒りっぽくなっていく。
そんなある日、一流企業から最終面接の案内が届く。だがその内容は異様なものだった。
――「重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ」――
人生どんづまりのアランは、愛する家族のため、この突拍子もない試練に知力と根性とプライドを賭けて挑む。
『監禁面接』読後レビュー(ネタバレなし)
周りが見えない父の暴走劇
読後にまず思ったのは「こんなお父さん、嫌だなぁ……!」という一言に尽きます。自分のことばかりで、もっと周りを見てほしい!と思わずにはいられませんでした。
しかし同時に、プライドの高さや、切羽詰まった状況を思えば、あそこまで突き抜けた行動にも納得できる部分はあります。
ハイリスクな博打に挑む緊張感
アランの選択は常に一発逆転を狙ったギャンブルのよう。読者としても「え、そこまでする!?」とハラハラしっぱなし。緊張感が高く、スリル満点の展開です。
元管理職のアランは人間観察に長けていて、他人の心理や思惑を冷静に分析します。なのに、どうして自分の状況は見つめられないのか……。客観性の欠如が、悲劇を加速させていく様が痛々しくも興味深いです。
章ごとの視点切り替えが上手い
全体は3章構成で、1章と3章がアラン視点、2章では別の人物の視点に切り替わります。この2章ではアランの思惑がわからないぶん、彼の言動が逆にミステリアスに描かれます。
その描写の積み重ねが、3章で明かされる計画の全貌に繋がっていく構成が見事だった!
こんな人におすすめ!
✔️ サスペンスと心理劇が好きな方
✔️ 社会派テーマに興味がある方
✔️ 主人公に感情移入せずに読めるタイプの物語を求めている方
まとめ
とにかく行動力だけは一流のアラン。その判断力と実行力が企業に評価されてもおかしくない……と思いつつ、やはり問題は人間性にあるのかも?という苦笑いも。
損切りを知らない、行動力の塊のような父親が繰り広げる暴走劇。そのパワーに元気づけられるか、戦慄するかはあなた次第です。