こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、終焉を待つ世界で起こった殺人事件
『此の世の果ての殺人』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!
『此の世の果ての殺人』あらすじ
小惑星「テロス」が日本に衝突すると発表され、世界は混乱と絶望に包まれた。
そんな中でも、自動車教習所に通い続ける少女・小春。教官で元刑事のイサガワとともに、彼女は地球最後の夢――運転免許の取得に挑んでいた。
ある日、教習車のトランクから凄惨な刺殺体が発見される。誰もが日々の終末を受け入れ、法も秩序も崩壊しつつある世界で、ふたりはあえてその謎に立ち向かう。
終焉が迫る太宰府の街を舞台にした、最後の謎解きが始まる――
『此の世の果ての殺人』読後レビュー(ネタバレなし)
終末世界での“謎解き”という違和感と魅力
「此の世の果ての殺人」という美しく魅惑的なタイトルに惹かれ、読み始めてみれば、まさかの“世界の終わり”が舞台。そんな中でも正義感を失わずに行動する元刑事と少女のコンビに引き込まれました。
頭に浮かぶ、くすんだ色の情景
文章から浮かび上がるのは、灰色の空、誰もいない街、首を吊る人々が風に揺れる山奥…。
ホラーではないのに不穏で、なのにどこか哀愁と静けさが同居する、不思議な読書体験でした。
地道で足を使った推理
派手な推理や派手なアクションではなく、ふたりが少しずつ人々と関わり、街を歩き、証言を集めて真相に近づいていく過程が丁寧に描かれていてよかったです。
出会いが少しずつ仲間を増やし、心強くなっていく感覚も良かった。
倫理や正義の形
殺人を追う意味すら薄れた世界で、それでも謎を解こうとする行為の中に、倫理や正義の形を問いかけられる。
重たいテーマを扱いながらも、読後には少しの温かさも残してくれる、そんな作品でした。
こんな人におすすめ!
✔️ 終末・終焉ものが好きな人
✔️ ミステリ×ヒューマンドラマを読みたい人
✔️ 足を使った地道な謎解きが好きな人
✔️ スリリングかつ心に残る読書体験を求めている人
まとめ
『此の世の果ての殺人』は、終末という極限状況を背景にしながらも、地に足のついた“謎解き”と人間の営みを丁寧に描いた作品でした。
「なぜ、この時代に殺人を?」という違和感こそが、本作の最大の魅力。倫理や正義、そして生きる意味について、静かに問いかけてきます。
ミステリファンにも、ディストピア系の物語が好きな方にも刺さる1冊。地球最後の日々を駆け抜ける、小さくて大きな冒険に、ぜひ触れてみてください。