こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、言葉と心の葛藤
『ゴリラ裁判の日』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!
『ゴリラ裁判の日』あらすじ

ゴリラが裁判を起こす――そんな驚きの設定から始まる物語『ゴリラ裁判の日』。
本作の主人公は、言葉と手話を習得し、人間と対話できる特別なゴリラ「ローザ」。
研究者たちと暮らし、ドラマや映画に触れながら知性を育んだローザは、ある日、人間の法廷に立つことになります。
“見た目はゴリラ、頭脳は人間”
そんな彼女が直面するのは、自らの存在意義、人間社会の矛盾、そして「言葉」という魔法であり呪いのようなもの。
異色のリーガル・ドラマでありながら、哲学的な問いかけと社会風刺が織り交ぜられた、まったく新しい物語。
『ゴリラ裁判の日』読後レビュー(ネタバレなし)
言葉を持ったゴリラという唯一無二の存在
動物が言葉を話す――そんな設定はフィクションでよく見ますが、本作の特異さは「ローザだけが言葉を持っている」という点にあります。
他のゴリラはまったく喋れず、人間のような複雑な感情も持ちません。
その孤独、違和感、そして橋渡し役にもなれない切なさ。
「自分は何者なのか」と葛藤するローザの“境界に立たされた者”の苦しみが、心に重くのしかかりました。
言葉は魔法か、それとも呪いか
ローザの目を通して描かれる人間社会は、とても新鮮です。
彼女にとって「言葉」は魔法のようなものでした。けれど、人間はその魔法を「呪い」のように使ってしまう。
野生動物が風雨に晒されるように、人々は吹き荒れる言葉に打たれながら暮らしている。
激しい雨がやがて台地を侵食するように、人々は言葉によって心を削られていた。そして、それが当然であるかのように振る舞っていた。
「ゴリラ裁判の日」
SNSでの言葉の暴力、感情をえぐる言葉の応酬――
現代に生きる私たちへの静かな警鐘にも感じました。
予想外の展開に引き込まれる
物語は単なる裁判劇では終わりません。途中でローザがまさかの転身を遂げるなど、展開がとにかく読めない。
でも不思議と「そうなるよね」と納得できるんです。
最も緊迫感があったのは裁判シーンです。弁護士がどのように戦っていくのかを、ローザと一緒に見守りながら、どんでん返しを期待しつつ読んでいました。
弁護士の宣言や裁判の進行がまるで探偵小説の解決シーンのようにワクワクさせ、読者としての興奮を引き立てます。
こんな人におすすめ!
✔️ 社会派小説やSF的テーマが好きな人
✔️ 言語やコミュニケーションの本質について考えたい人
✔️ 意外な展開が好きな人
✔️ 一風変わったリーガルドラマにワクワクしたい人
あらすじ紹介ショート動画はこちら!
まとめ
『ゴリラ裁判の日』は、言語と感情、そしてアイデンティティに関する深いテーマを探求した作品です。
主人公ローザの葛藤を通じて、言葉の力とその影響力、人間と動物の違い、さらには人間社会の矛盾を鋭く描いています。ローザの成長と変化を見守りながら、ユニークな視点で人間界を再評価することができるこの作品は、思わず考えさせられる深い読書体験を提供してくれます。
