ネタバレきっとあります。
あらすじ
酒屋の主人への暴行で取調べを受けている、腹が出てハゲた中年男性、スズキタゴサク。
誤魔化し飄々とし掴みどころのない取調べだったが、彼が霊感で爆弾の爆破を予知する。
初めはバカにしていた予知が的中し、本格的に重要参考人として聴取が始まる。
知らぬ存ぜぬを通す純粋な目をした彼は、爆弾魔なのか、操り人形なのか。
取調べ室での彼との対話が全都民の命を握る。
きままな感想
言葉巧みな駆け引きで揺さぶり合う心理戦に目を離せなかった。
取調べ室のシーンと現場シーンが行き来し、常に息の詰まりそうな緊張感がある。
特に取調べ室では、スズキと刑事の対話が、静かに張り詰めた空気を醸し出し緊張する。
容疑者であるスズキタゴサクとの対話の中にある、自分の生い立ちや価値観、全く無駄と思える話からも爆弾の設置場所に関するヒントが散りばめられいる。
刑事達は急がないといけないが、向こうのペースに合わせるしかないために、冷静さを装いながら対話に応じるのが、すごくソワソワする。
カチカチと制限時間に近づいている音が聞こえる感じ。
最初からスズキは自分を卑下し、へこへこしながら話す。しかし、その姿勢で誰もが抱え得る矛盾や嘘や悪意について滔々と語っていく。
この感じがすごく癪に障る。
スズキの語る悪の理論は納得もできる。
「藁の楯」のような矛盾した行為を刑事がすることも逆手にとり、自分に嘘をついていないか、と問いかけてきたり。
イライラするなー!でも確かに社会って矛盾だらけやなー!みたいな。
まぁ僕の中では、このキャラクターがあまり見たことないサイコパスの形で魅力的だったわけです。
風貌は中年のおっさんなのに純真無垢な目をしており、それが普通でしょ?というように自論を語っていく。
僕の想像力ではそのキャラクターに何か矛盾を感じて、頭でイメージしにくかった笑
本当に悪い意味ではなく、それほど触れたことのないキャラクター。
無理やり佐藤二郎さん的なのをイメージしてた。
刑事側にも有能だけど少し変な頭脳派が出るのですが、こっちはデスノートのエルみたいに、変カッコいい感じがあったから、素直にカッコよかった。
頭脳派、インテリキャラはかっこいい。たまに見せる感情的なところとかいいね。
等々力の葛藤やスズキへの共感も良かったし、上司である七十五点の男、鶴久にもその人なりに考えているところが見えて良かった。
いろいろなベクトルのキャラクターがいて、それぞれに人間味を感じた。
事件の全貌とスズキの正体には意表を突かれました。
続きが最近発売されたっぽいので読みたいです。
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