こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、密室×心理戦
『方舟』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!
『方舟』あらすじ

大学時代の仲間7人は、山奥に違法建築された地下構造物を面白半分で訪れる。夜を迎えた彼らは、山で迷った家族3人と合流し、そのまま地下で一夜を明かすことに。
ところが翌朝、突如発生した地震により、出入り口が崩落。10人は閉じ込められてしまう。備え付けの非常口はあるが、そこから脱出できるのは9人だけ──誰かひとりを残さなければならない。
そんな中、殺人事件が発生。生き残るため、犯人を見つけてその人物を残すべく、地下の密室で捜査が始まる。
『方舟』読後レビュー(ネタバレなし)
心臓を締め付ける閉鎖空間
地下に閉じ込められ、時間が経つごとに水が溜まり、次第に「脱出までのリミット」が迫る。
追い詰められた空間の描写が非常にリアルで、読んでいるこちらまで息苦しくなります。
お茶目なキャラクターやユーモアは一切なく、終始張り詰めた空気が続くので、読後には疲労感すら覚えました。
推理だけでは終わらない葛藤
事件の謎を解くだけでなく、「誰を犠牲にするか」という非情な選択が物語に重くのしかかります。
犯人を見つければ脱出できるのか? 協力するとは限らない……。
物理的な密室と精神的な密室、その両方に閉じ込められている感覚が強烈です。
計画的犯行か、偶然か
地震という自然災害が発端となった閉鎖空間。
では、犯行は突発的なのか? それとも……?
事件の真相にたどり着いたとき、読者は新たな恐怖を知ることになります。その動機、判断の速さ、利己的な思考が背筋を凍らせます。
強烈な余韻
計画の全貌と動機を知ると驚愕。ゾクッと背筋が凍りました。
江戸川乱歩の「陰獣」を読んだときに似た余韻で、長く引きずります。
しかし、すごく好み。
こんな人におすすめ!
✔️ 息詰まるような密室ミステリが好きな方
✔️ 道徳と生存がぶつかる状況にゾクッとする方
✔️ 読後に反芻してしまうような読書体験が好きな方
まとめ
『方舟』は、心理戦と推理、そして人間の本性がむき出しになる密室ミステリ。誰かを犠牲にしなければならないという極限の状況下で、あなたならどうする?と問いかけてくる作品です。
読後、しばらく思考が止まらず、何度も「もしこうだったら」と違う可能性を考えずにはいられません。
ゾクゾクするような読書体験を求めている方には、強くおすすめできる一冊です。