こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、殺人実況ラジオを止めろ!
『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!
『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』あらすじ
若い女性が連続して殺害され、その様子がネットラジオで実況されるという戦慄の事件――世間を騒がせる”ラジオマーダー”を追うことになったのは、オッドアイのジャーナリスト・ライラと、探偵業を畳むか迷っているしがない探偵・鶴舞。
彼らは事件を追いながら、自らの推理や考察を発信する”ラジオディテクティブ”を開始し、話題を集めていく。
一方で警察も独自にラジオマーダーを追い、鶴舞たちは疑いの目を向けられることに。
探偵としての最後の事件かもしれない――鶴舞はライラと共に、泥臭くも真摯に真相へと迫っていく。そして事件の結末には、誰もが息を呑む展開が待ち受けていた。
『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』読後レビュー(ネタバレなし)
探偵は“名探偵”じゃない
本作の主人公・鶴舞は、いわゆる切れ者ではないタイプの探偵。探偵としての実力に自信が持てず、廃業も考えているような人物です。だからこそ、事件に真摯に向き合い、相棒・ライラの助言に支えられながら徐々に頭角を現していく姿には熱さがあります。
推理が当たったときの、ちょっと舞い上がってしまう様子には共感と応援の気持ちが湧きました。人間臭くて応援したくなる探偵像でした。
サイコな連続殺人鬼と、音に潜む手がかり
犯人・ラジオマーダーの殺人手口は残酷で、それを”実況”するという発想自体に寒気を覚えました。特に四件目の殺害シーンは、音の描写だけで背筋が凍るほど。
そんな中で、些細な”音”や口調の変化など、視覚ではなく聴覚情報を手がかりに真相へと迫っていく構成が斬新。ミステリとしてのギミックはやや強引に感じる部分もありましたが、終盤できちんと回収され、納得感のある着地を見せてくれました。
警察と探偵、交差する視点
探偵パートと警察パートの両方が描かれることで、物語に客観性と緊張感が加わります。探偵がいくら事件に本気でも、警察からは”怪しい人物”としてマークされる苦しさ。
その視点のズレが、物語にリアルなもどかしさを生んでいて、ラストに向けてどう両者が交わるのか、非常に見応えがありました。
こんな人におすすめ!
✔️ 名探偵ではない“等身大の探偵”が好きな方
✔️ ラジオや音声コンテンツが好きな方(?)
✔️ ダークで現代的なミステリを求めている方
まとめ
『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』は、”音”を軸に展開する異色の連続殺人ミステリ。華麗な推理ではなく、泥臭く積み上げていく真相の追求。探偵と記者のコンビが、警察の目をかいくぐりながら、ラジオ越しの殺人鬼に挑む――その過程が緊張感に満ちていて、非常に読み応えのある一冊でした。
音から推理を広げる新感覚のミステリ、ぜひ体感してみてください。