こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。 今回は、この世で最も首吊り自殺に向かない場所で起きた事件
『星くずの殺人』
を読んだので、ネタバレなしで感想をまとめます!
以前読んだ桃野雑派さんの「老虎残夢」が面白かったので手に取りました!

『星くずの殺人』あらすじ
舞台は、民間企業が手がける“日本初の格安宇宙旅行”。
モニターツアーとして抽選で選ばれた6人の一般人と、パイロット・スタッフたちが宇宙ホテル「星くず」へと旅立ちます。
高級リゾートさながらの宇宙ホテルで夢のような時間が始まるはずだった。
しかし――無重力空間に浮かぶ首吊り死体が発見されたことで、物語は一転。
ここは地球から遥か離れた「この世で最も首吊り自殺に向かない場所」。
これは事故なのか、自殺か、あるいは他殺なのか?
閉ざされた宇宙空間で、疑心暗鬼と緊迫感が加速する。
『星くずの殺人』読後レビュー(ネタバレなし)
宇宙×本格ミステリの新感覚
宇宙を舞台にしたSFやミステリはこれまでも存在しますが、本作の魅力は「リアリティのある舞台設定×本格的な謎解き」にあります。
無重力下の死体、閉ざされた空間、通信遮断、そして次々と明かされる登場人物たちの過去。
宇宙にいながら、しっかりと「地に足のついた」サスペンスが展開され、どんどん引き込まれます。
科学知識がなくても自然に読めて、でも「なるほど!」と思える説得力があるのがすごいところ。
社会批評や心の叫び
意外にも感動的なシーンが多く、特に「ラーメンで泣くシーン」は心を打たれました。
登場人物たちは特別に派手なキャラではありませんが、それぞれの価値観や傷が丁寧に描かれています。
社会批評や心の叫びがふとした会話に滲み出ていて、そこにリアリティと優しさがある。
だからこそ、トリックや動機の説得力にも深みが増すんだと感じました。
犯人像に深く共感できるのがずるい
「悪には悪の理由がある」
そう思わせてくれるのが本作のもう一つの魅力です。
犯人の動機にはしっかりとした“宇宙でなければならない理由”があり、決して単なる狂気や私怨では終わりません。
ただの推理劇ではなく、どうしてもここでやるしかなかったという切実さが胸に残ります。
戦闘シーンまで熱い!
まさかの宇宙戦闘(!)まで展開する後半は、ミステリなのにアクションのような熱量。
「老虎残夢」で魅せた桃野雑派さんの筆力がここでも光ります。
低重力空間の描写もリアルで、映像が頭に浮かぶようでした。
こんな人におすすめ!
✔️ 宇宙を舞台にしたクローズドサークルに惹かれる人
✔️ 動機や背景にも納得したい人
✔️ 人間ドラマ重視のミステリが好きな人
まとめ
俺達は興奮しながら冷静になれるんだよ
「星くずの殺人」
こんな渋いこと言いてぇ。
『星くずの殺人』は、宇宙を舞台にしながらも地に足のついた人間ドラマと、納得感ある謎解きが光る極上のミステリです。
「この世で最も首吊り自殺に向かない場所で起きた事件」
――このキャッチーな事件(?)から始まる物語は、ラスト一行まで驚きと余韻に満ちています。
宇宙、ミステリ、そして人間の「弱さ」と「強さ」に触れたい方に、ぜひ読んでほしい一冊です。