『流血マルチバース』感想・レビュー|物語は分岐し、やがて一つの運命へと収束する

こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。
今回は、分岐する物語『流血マルチバース』
を読んだので、感想をまとめます!
『流血マルチバース』あらすじ
十年前、龍穴島(りゅうけつとう)での噴火に耕一と紗枝は巻き込まれ、その際に紗枝は記憶を失った。
その記憶を取り戻すため、耕一は紗枝を連れて龍穴島に再び訪れることとなる。
しかし、島に着いてすぐに操舵室で死体が発見される。
耕一は船に留まるのか、容疑者を追うのか、はたまた別の行動をするのか。
この選択を起点に、物語は三つの世界線へと分岐していく。
『流血マルチバース』読後レビュー
古典的な設定と特殊設定の融合
クローズドサークル、龍穴島に伝わる四首の詩歌、謎の白い覆面男…
古典ミステリらしい舞台装置に、『マルチバース』という珍しい特殊設定が合わさっている本作。
これによりかなり複雑な構成となり、頭の切り替えと整理が私は大変でした!
『どういうこと?』と思いながら読み進めていると、あとになって『ああ、あれはこれのことだったのか!』と繋がる場面もあり、私の脳では何度か周回しないとちゃんと把握できなさそうな複雑さ。
でも、まえがきで読み方のアドバイスもあるのでいろいろな読み方で楽しむのがいいのかもしれないなぁ。
ちなみに私は前から順番に読みました。
一冊で三度おいしいマルチバース
特殊設定の『マルチバース』についてですが、最初の殺人が起きてからの行動で、物語が三つに分岐します。
『流血マルチバース』A、船で籠城する
B、容疑者を追う
C、一同から逃げる
(こどものときに児童館で読んだ本で、Bの選択の人は○○ページをめくってください、みたいなのあったなぁってなりました!)
それぞれミステリ、サバイバル、SFの世界線であり、一冊で三度おいしい仕様。
結局はミステリだと感じたのですが、いろいろな刺激があるのが楽しいですね。
ある人物は、それぞれの世界線に存在する自分と記憶を同期することができます。
そのため、一つの世界線だけでは知り得なかった情報を得て、そこから推理し、次の行動を決めていく。
この“世界線をまたいだ情報収集”が、マルチバースでありながらしっかりミステリとして感じられた理由なのかもしれません。
収束点Xのその先
やがて三つの世界線は一つの運命へと収束していきます。
そしてそこで判明する十年前の真実!
私的には最後の1ページが最高にキマっていました!
結末そのものを読者に委ねるのではなく、その先をどう想像するかを読者に委ねる。こんな終わらせ方もあるんですね。
三つに分岐した世界を追ってきた読者だからこそ、この終わり方が気持ちいい。
こんな人におすすめ!
- 特殊設定ミステリが好きな人
- 複雑な構成が好きな人
- マルチバース、パラレルワールド、多世界解釈…みたいな単語に目がいく人
まとめ
正直、頭が追いつかず、「このマルチバースをどう解釈すればいいんだ?」「これは設定的にありなのか?」と悩む部分もありました。
それでも、三つに分岐した物語が少しずつ繋がっていく後半は、驚きながら「おおぉぉ……!」と一気に読み進めました。
また、途中で作者の五条さんが読者に語りかけてくるような文体も印象的。複雑な物語なのに、作者自身が「さあ、ここからですよ」と盛り上げてくれているようで、この距離感がすごく好きでした。
そして、三つの世界線を追った先に待つ最後の1ページ。
難解だったからこそ、あのラストまで辿り着いたときの読み味が強く残る一冊でした。
流血マルチバース

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