『ジャガー・ワールド』感想・レビュー|滅びゆく王国で、命を燃やす人々の物語。

恒川 光太郎 先生
『ジャガー・ワールド』感想・レビュー|滅びゆく王国で、命を燃やす人々の物語。
作品の魅力を伝えるため、作品内容に関する記述を含みます。未読の方はご注意ください。

こんにちは!

気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。

今回は、生きざまに胸が熱くなる

『ジャガー・ワールド』を読んだので、感想をまとめます!

『ジャガー・ワールド』あらすじ

エルテカ王国には、世界の滅亡を防ぐため、太陽神に生贄を捧げるという信仰が根づいていた。

サリュザ島で平和に暮らしていた少年スレイは、ある日父を殺され、自らも生贄として連れ去られてしまう。生贄の館に送られたスレイは、そこでヘルマスという女性に命を救われ、同じ境遇の子供たちとともに成長していく。

やがて青年となったスレイは、徴兵され、エルテカの兵士として戦場に立つことになる。しかしそれは、父を奪った者たちと同じ側に立ち、他国を侵略する道でもあった。スレイは怒りや迷いを抱えながらも、自分の心に従い、与えられた運命を切り開こうとしていく。

スレイの運命を軸に、さまざまな人物の人生と視点が交差し、やがて一つの大きな歴史へと収束していく。エルテカ王国の栄光と崩壊を描いた、壮大な冒険譚。

『ジャガー・ワールド』読後レビュー

さまざまな人生が交差する群像劇

スレイだけでなく、シベリア、ドルコ、フォスト・ザマなど、さまざまな人物の視点からエルテカ王国とそれぞれの人生が描かれていきます。

人物たちの価値観や信念が見えてくるほど、「この人だからこう動くのだ」という納得が生まれて、物語全体がどんどん深く濃くなっていきました。

とてつもない悪に見えていたアグスレイマ三世でさえ、その内面が描かれることで、単純な悪としてだけでは見られなくなったり…許せるかどうかとは別に、人を知ることで見え方が変わる。その描き方が印象的でした。

手に汗握る場面と、胸が苦しくなる場面

スレイの五十対一からの救出劇、シベリアのシュギン戦、フォスト・ザマの弁論の儀式戦争など、手に汗握る場面が多く、その辺では特に読む手が止まりませんでした。

一方で、ドルコとカザム・サクが二人で過ごす穏やかな日々はとてもほほえましくて、だからこそ、その日々が終わったときには本当に苦しかったです…

激しい戦いや緊張感だけでなく、静かな幸福や喪失まで描かれていて、喜怒哀楽を大きく揺さぶられました。

生きざまが心に刺さる!

この物語でいちばん心に残ったのは、登場人物たちの生きざまでした。絶望が当たり前のように存在する世界で、それでも彼らは自分の人生を燃やして生きている。

明日死んだとしても、自分は納得のうちに死ねる。これでこそ、人生だ。

『ジャガー・ワールド』

という言葉が、とても心に残っています。 こんな世界で、ここまで強く生きられるのか。自分は今、命を燃やして生きているだろうか。そんなふうに、自分自身の生き方まで見つめ直してしまう文章が多かったです。

若き日は私情のみで生きてきた気もするが、人生は、いったいいつから、私情以外のものに乗っとられてしまうのだろう。

『ジャガー・ワールド』

大人になるにつれて、自分の気持ちだけでは動けなくなっていくこと。 強く見える人の中にも、迷いや諦めや痛みがあること。そういう部分にもグサッときた。

こんな人におすすめ!

  • 長編の物語にどっぷり浸かりたい人
  • 王国の興亡、戦い、信仰、価値観のぶつかり合いに惹かれる人
  • キャラクターの生きざまに胸を熱くしたい人

まとめ

マヤ文明を舞台にした、架空の国の冒険小説。 こういうのはあまり読まないジャンルですが、読み始めるとあっという間で興奮しっぱなしでした!

600ページを超える壮大な物語。毎日続きを読むのが楽しみで、「この先どうなっていくんだろう」とワクワクしながらページをめくっていました!

過酷な世界を描いているのに、人物たちから放たれる生きることへの熱にぐいぐいと引っ張られます!

ジャガー・ワールド

恒川 光太郎

※価格や在庫は各ショップをご確認ください。

おすすめ記事