『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』感想・レビュー|幾重にも連なる作中作の先に

こんにちは!
気ままな読書を楽しんでいるあびあびです。
今回は、作中作の中の作中作に入り込んでいく初めての読書体験
『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』を読んだので、感想をまとめます!
『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』あらすじ
恋人・ジアネの死のショックで昏睡状態となっていたエリメは、意識を取り戻す。しかし、彼は記憶障害を負っていた。 それでも前に進むため、エリメは大学への復学を決心する。
寮へ戻る旅のお供として、弟から渡されたのは「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」という古い本。 それはかつて、ジアネがエリメに渡したことのある本だった。
彼女の遺品でもあるその本を、エリメは読み始める。
『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』読後レビュー
多重入れ子構造! 初めての読書体験
作中に登場する「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」という物語は、この小説と同じタイトルなので少しややこしいですが、作中作が幾重にも重なっていく、深い入れ子構造の物語です。
読んでいて、「え!? え!?」となる、初めての読書体験でした!
最初は「今、どの作品の中で読んでいる作品やったっけ?」と混乱しましたが、慣れてくると意外と問題なく読めてきます。
『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』「ああ、いったい、いくつ本が出てくるのよ!」
と作中作の人物が言っていて、それはこっちのセリフ! と思いながらも、この構造ならではのメタ的な面白さがありました。メタっぽいけど、ただのメタではないような不思議な感覚。
「そろそろ気が狂ってしまいそう」と作中のキャラクターがこぼしてしまう、数行ごとに作中作が切り替わっていくシーンは、目まぐるしくて本当にヤバかったです。
受け継がれていく真実
作中の「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」は、それぞれの時代で明らかになったことを、その時代の人が書き残していくことで、深い入れ子構造になっています。
けれどそれは、ただ複雑な構成にするためではなく、それぞれの時代で誰かが真実を残そうとした証でもあります。
真実に触れた人たちは、ただ知るだけでは終わりません。衝撃を受け、考え、そして何かしらの行動を選び取っていく。 そこには歴史を伝えること以上に、「これを知ったあなたはどうするのか」という、書き残した人たちからの熱いメッセージが込められているように感じました。
『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』悠久の歴史が全て、人々の繋がりの中で生まれてきて、それが偶然にもこうして一人の宰相によって一つの本になっている。
この一文の重みが、読み進めるほどに増していきます。 長い歴史の中で、いくつもの人の意思が受け継がれ、ひとつの本として今ここにある。そのこと自体が、とても胸にくる作品でした。
長い序章は、あくまで始まりに過ぎない
本来は導入部であるはずの序章。 これがとても長く、第一章が始まるのは300ページを過ぎてからです。
目次を見たとき、なんやこれ? となりました。
そして第一章から、ようやくエリメ自身の物語が本格的に始まります。
大学のルームメイトとともに、物語をヒントにして王家の宝の在処を探り始めるエリメたち。 分析し、議論し、答えらしきものに近づいていく様子が、謎解きサークルみたいでワクワクしました。 さっき読んだ物語から、こんなことを読み取れるんだと感心しながら、ミステリ小説を推理する人ってこんな感じかな、と思いながら読んでいました。
しかし、「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」は、エリメたちの生きる国の過去の物語でもあります。
『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』鳥肌が立つ。これまで、どこか本の中だけの物語だと思っていたものが、突然現実世界に介入したかのようだった。
真相が近づくにつれて、物語はエリメたちにとって他人事ではなくなっていきます。 ただの宝探しではなく、少しずつ現実へと食い込んでくる謎。そこから緊張感がどんどん増していきました。
こんな人におすすめ!
- 複雑な構成の物語にテンションが上がる人
- 宗教や歴史をテーマにした物語が好きな人
- 本に込められたメッセージを読み解くのが好きな人
まとめ
初めての読書体験を味わえる構成に驚かされましたが、それだけではなく、物語としてもその構造にしっかり意味があって、最後まできれいにまとまっている作品でした。
少し分厚いし、重厚感のある装丁だったので読む前はビビっていましたが、読み始めると夢中になれました!
最後に作者さんのプロフィールがありましたが、大学生!? こんな作品を書けるなんて凄すぎます……。 次回作の予告もあり、めっちゃ楽しみです!
女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処

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